誰も知っている企業、シャープ。液晶パネル工場への投資に失敗し、経営破綻。最後は台湾の鴻海に買収されたのは記憶に新しいところです。本書は、日本を代表する名門企業がどうやって崩壊していったのかを詳細に解説してくれています。
著者はどんな人?
著者は日本経済新聞。大阪本社・経済部が総力を挙げてシャープ崩壊の原因を調査。
この本が伝えたいこと
かつて家電大国であった日本。NTT、東芝、ソニー、富士通、日立など多くの企業が栄枯盛衰を辿ってきました。
その中でも、なぜシャープは大きく凋落してしまったのか?
一企業の没落という歴史的事件を学ぶことができます。
こんな人に読んでもらいたい
- 企業経営に興味がある人
- 経営学を学んでいる学生や研究者
- ビジネスパーソンや経営者
- シャープや日本の製造業に関心がある人
経営者から学生まで、あらゆる人に見てもらいたい一冊です。特に、製造業よりの人には、「投資の読みを失敗するとこうなる」と大きな学びとなります。
また、「一線を退いた長老が介入してくるとこうなる」ということも赤裸々に書かれていていますよね。
内容を簡単にご紹介
- シャープ歴代社長の系譜
- 片山社長はなぜ液晶に集中投資をしたのか
- 社長、副社長、元社長たちの権力闘争
- 業績不振
- 鴻海からの揺さぶり
シャープのこれらの歴史を赤裸々に語っている点で、本書の右に出るものはいないでしょう。
私はすっかりシャープに詳しくなりました(#^.^#)
町田 – 片山のラインが、会社のドメインを「液晶に全振り」した結果、読みが外れて赤字に転落したのですが、投資する際には「失敗したら致命傷か?」を吟味して判断するべきですよね。
文中の片山社長の猪突猛進ぶりを見ると、どこまでリスクマネジメントできていたのか?
周りの諫言はどこまで本人の耳に届いての他のだろうか?
もっとシャープについて知りたくなりました。
加えて気になったのは、権力闘争です。
社長、元社長、顧問、副社長らの争いが勃発すると、足の引っ張り合いが起きます。
一線を退いたはずの第四代社長、第三代社長までが、経営に口出しをしてきています。
液晶投資の失敗が顕在化する前後の経営陣の争いぶりを見ると、この時点で勝負は見えていたと感じます。
図解:片山社長時代の権力闘争
読んでみての感想
シャープは、誰もが知る優良企業でした。
投資の失敗により、一気に転落したわけですが、残念ながら経営陣がそこで一致団結できませんでした。
社長、会長、顧問、副社長、事業部長らの権力闘争が勃発すると、「会社の発展」より「権力闘争に勝つこと」が目的になってしまうんですよね。
困った時に団結できない会社は、鴻海に買われて正解だったのかもしれません。
私も経営者として、シャープの轍を踏まないよう誓ったのでした。