ジャパネットたかたと言えば、有名なテレビショッピング企業ですよね。あの高田明社長の特徴のある声が脳裏に浮かぶ方も多いと思います。
一代で巨大企業を築き上げた高田明は、どのような人物であったのか?
本書を読んだところ、彼の考え方と、それを通じたジャパネットたかたの組織文化などを知ることができたので、ご紹介したいと思います。
著者はどんな人?
高田明と新将命の二人による対談形式。高田明はジャパネットたかたの創業者であり、新将命は外資系経営者、コンサルタント、作家など多彩な顔を持つ。
この本が伝えたいこと
本書は、息子にまかせて身を引いた高田明がいかに「人にまかせる力」と「アトツギへバトンタッチする力」の2つを発揮してきたか、の説明を目的に書かれたものです。
創業者って、普通は地位にしがみつくなどして、中々後進に権限や地位を渡さないことが多いじゃないですよね。
そんな中、高田明は「業務だけでなく理念とセットで伝えること」で、後進が道を外さないように指導し、周囲が驚くほど、あっさりと身を引きました。
高田明は何を考え、どのようの実行していったのか。それを新将命の的確過ぎるコメントを交えながら解説されるのが大変面白い一冊です。
こんな人に読んでもらいたい
- 創業家の方で次世代にバトンタッチしたい人
- バトンタッチされる側の人
- MVVやクレドの大切さについて学びたい人
- ジャパネットたかたについて詳しく知りたい人
最後はさておき(笑)、後継者にバトンを渡すためには、思い切って任せること。任せるためには、「事業」を渡すよりも「理念」を渡すこと。この点の重要さについて理解したい方には大変お勧めの内容となっています。
内容を簡単にご紹介
松下幸之助の言葉「起業成功の50パーセントは理念である」
この有名な言葉をご存じである方は多いんじゃないでしょうか。
どれだけスキルがあって事業を伸ばしていっても、「事業を通じて社会に何をもたらすのか?」などの価値観つまり理念が共有されていないと、長期的な成功は得られないと説いています。
企業理念はなぜ必要なのか。従業員の忠誠心や志に影響する、経営者の判断軸になる、人事評価の軸になる、などなど様々な利点があります。
特に企業の後継者たる者、本書のケースでは高田明の子息である高田旭人には、理念ベースの教育を行っています。結果、経営者としての基本的な思想を父親と合わせたことで、枝葉の施策は本人に任せるというスタイルを取っていますね。
「あなたがいつか社長を辞める時、もし後継者が育っていなければ、あなたへの評価は、最大でも50点でしかない」
高田明は66歳で、社長業から引退し、筆頭株主からも降りています。
「自分が辞めないと後継者が育たない」とわかっていたからこその行動なのでしょう。
取締役や株主に名を連ねたまま世間の「長老」「元老」と高田明が一線を画すエピソードが沢山散りばめられています。
読んでみての感想
大企業であるジャパネットたかたさんでも、創業者からこのようなスムーズな事業承継が行われたことに感動しました。
それは、高田明さんの慧眼もあるでしょうが、二代目である高田旭人さんの人柄によるところも大きいのではないでしょうか。
親の作った理念を守り、信頼され、「こいつなら大丈夫」と思わせることに成功したからこそ、無事にバトンタッチができたのでしょうね。事業承継の素晴らしい成功例だと思います。